愛を語ろう
こんちは。でっちうです。
今回は愛を語ります。自分語りの巻。
バイクという乗り物との出会い
元々、大学に行くまでバイクにはこれっぽっちも興味がありませんでした。夏は暑いし、冬は寒いし、身体は剥き出しで危ないし、2輪って不安定だし、せいぜい二人しか乗れない。なんであんなもん好き好んで乗るのかなあ、とすら思っていました。(過去形)
クルマが好きだった。
でもね、学生ってとりあえず金が無いじゃないですか。学部一年生、経済的事情もあって国立大に通う学生にクルマなんて買えるわけないんですよ。
とりあえず免許は取った、でもクルマなんて買えない。下位互換で原付なら乗れるけど・・・うーん、みたいな。
しかし環境は人を変えるようで、偶然かもしれないけど周りはバイク野郎だらけ。大学の駐輪場に行っても、いつも何十台もバイクが居る。
大学の講義でも、まず最初にやったのはバイクのエンジンをバラすことでした。これが運の尽きだった気がする。最初に触ったのはホンダのリトルカブのエンジンだったんです。この50 cc単気筒にはエッセンスが詰め込まれているから、という。遠心クラッチというカブ独特の機構はありますが、基本はカブのエンジンバラせば解ると。
講義(というか実習だよね)の内容はさておき、自分たちの手でバラしてまた組んで、ちゃんとエンジンがかかったときの感動は忘れられませんね。
で、バイクに初めて触れたわけですが、特にキャブレターだったし、あの身近さが非常に良かったように感じています。自分の手で触れる。ヒトと機械の距離が近い、ということが非常に楽しかった。原付だってこんなに楽しい。
気付いてしまったのでした。
で、トントンと話は進んで、一年生の秋頃には2001年式のスーパーカブ50を購入。
当時付き合ってた彼女には
「イモ」
だの
「おじさんくさい」
だの
「郵便局」
だのとボロクソに言われたことをいまだに覚えていますが、それは機械の構造的な美しさ、機能美というものに着目していないが故の仕方がない発言。なんてったってスーパーなカブをバカにしたらただじゃ済まn・・・いや、知らないんだもんね。許す。いいよ、全然気にしてない。全然。
まあ、いざ自分のものになると、そんなことは本当に気にならなくなるくらい、超楽しかったんですよ。地下鉄で移動していると絶対に見えない地上の風景を見ることができて、自分の意志で寄り道ができて、空気の匂いまで感じることができる。消耗品も安いし、燃費も驚くほど良い。ほとんど全開走行でしたが、50 km/Lを切ったことがなかった。地下鉄で往復1000円かかる道が、往復150円で行けてしまう。最高でしたね。
何も用事がなくてもフラフラするクセがついたのはカブのせい。
そしていきなり大型行っちゃう人
ニンゲンは欲張りなもので、乗り始めると色々とバイクのことを調べ始めて、今度は中型、大型に興味が。
途中割愛しますが、そこから免許を取り、何に乗ろうかな、などと調べつつ。でもヒトが乗ってるバイクには乗りたくなかった。メジャーなバイクには乗らない。
そしてデカくて重いバイクはあんまり興味が・・・軽さこそ正義、みたいな過激な野郎でした。今も大して変わらんけど。
そして見つけた良い相棒。HONDA hornet 600です。CB600Fね。98年式の最初期型、これが初めての(中型以上の)バイクでした。ちなみにカブ号は降りずに買い足し。
忘れもしない2013年4月18日の納車。みんなで一緒にいきなり某溜まり場に向かったっけ。
真っ赤で超目立つ(と思い込んでる)。軽くてボディサイズは250と変わらないのに、無理やり詰め込んだような600 ccのエンジンがバックボーンフレームにデカい態度でデーンと載っている。フレーム負けてないのコレ?っていう。そして誰も乗っていない。hornet 250に乗っている大学生なんかいくらでも居るけど、600と900はほっっっっとんど見ません。本当に居ません。間違いなく不人気車種。ほんとビックリするほど乗っている人が居ない。天下のホンダ様のくせにマジで乗っている人が居ない。ニーグリップでサイドカウルが割れる。あと死ぬほどクラッチが重い。何をどう対策しても重い、重すぎる。じゃあ俺が強くなれば良いな!って言って、最後まで二本指でクラッチ操作。乗るだけで強くなる。最高じゃないですか。
250が悪いとは言いません。さらに軽量だし、アレはアレで回す楽しみもあるだろうし。でもね、250の隣に並べると異様にエンジンがデカいんですね。250に乗ってる人が「えっ何このホーネットなんかおかしくね?音太くね?」と思ってくれないかな、と期待しながら並走してみたりとか。
色々と思い出があります。
信号ダッシュに失敗して女子中学生の前でエンストこいたりとか。
真夏に海岸の渋滞にハマって、暑すぎて対向車線に飛び出して帰ったりとか。
雨の中、高速飛ばして実家に帰ったりとか。
虫の投身自殺が多すぎてヘルメットが生臭くなったりとか。
屋久島・種子島に行ったとき、丸一日登山して帰りにバイク乗ったまま寝て死にかけたりとか。ちなみにこのときは船酔いでキラキラ吐きました。
バイトの帰りに電装系トラブってヘッドライトが点かなくなったりとか。
小高い丘のてっぺんにある公園から、用もなく毎晩のように夜景を眺めたりとか。
エキゾーストのヒートガードがぶっとんで、足を火傷しそうになったりとか。
ヒートガード針金で括り付けたのは良いけど、やっぱぶっ飛んだりとか。
音量で車検通らなかったりとかww
引っ越し時に陸送したらシート破れてたりとか。テキトーに修復したらベッタベタに糊がついちゃって、お尻が真っ黒になったりとか。結局自分でシート張り替えたっけ。中身がカビてて大変だったりとか。
真夏の伊豆の渋滞にどハマりして死にかけたりとか。
サーキット走行直前にデカい台風が来て、朝起きたら倒されてシリンダーにオイル上がって白煙吹きまくって焦ったりとか。ビキニカウルには見事に穴が空いてたりとか。
雨天のFSWでフロントがスパーンと逃げてスリップダウン寸前とか。まずタンク逝かなくて良かった。
240km/hオーバーで車体がヨレちゃって真っ直ぐ走らなくてヤバイとか。
でも乗ってるだけで楽しいんですよ。ホッソリした脚付きの良いシート、色っぽく張り出したタンクに跳ね上がったテール、剛性感に乏しいフレーム、クソ重いクラッチ、公道だと使わないくせに謎のフルパワー、当然リミッターレス、600ccとしては12km/Lくらいと割と極悪燃費。高速で倍以上の数値を叩き出すツンデレっぷり。道が荒れるとアシが硬いわけでもないのに落ち着かないリアの挙動。全開加速すれば結構ビックリする勢いでぶっ飛びます。電制?そんなもん知らん。手動ABS/TCS。挙げれば欠点の方が多いんじゃ?という気もしますが、馬鹿な子ほど可愛いって言うじゃないですか。
彼は、彼女は、か?最高の相棒であり続けました。非常に楽しいバイクでした。
突如訪れる別れ
2019年1月。有給を取って出掛けた帰りにたまたま、たまたま立ち寄ったバイク屋に置いていたミドルクラスSS。憧れの車種。程度も良く、前オーナーも酷使した様子は無い。当然電子制御の塊みたいなヤツ。
買い足しという選択もありました。でも金銭的に現実的ではないし、車検も近い。サーキット走行で感じた剛性不足とか、その辺の不満もあったのでしょうけれども。何より台数が増えすぎると管理が確実に雑になります。それはそれで愛がない。それは許されない。
諸々考慮した結果、半ば勢いで乗り換えを決意しました。
浮かれてはいたけど、帰りに色々思い出して寂しくなって、泣きながら帰ったっけ。家でも何度泣いたことやら。
まだホーネットは手元にあるのに、乗っているのに寂しくてねぇ…相棒と別れる未来が見えているのも辛いものがありました。
若い内にスーパースポーツに乗っておきたいってのも本音なんですよ。本当にごめんな、って。
新しい相棒
最後まで転けることもなく、綺麗な状態で送り出せて本当に良かった。Hornet 600は下取りに出し、新しい相棒を迎えました。
紹介します。
Kawasaki ZX-6R(ドドーン)
いや、前のエントリにしれっと登場しとるけど。
2016年式KRT editionです。超カッコイイでしょ!?
この子の印象箇条書き。
・hornet比でパワー1.5倍、車重に至っては軽くなってるはず。
・車体全体の剛性感があって怖くない
・めっっっっっっっちゃ静か。メカノイズ以外無音と感じる。夜中の住宅街でも迷惑にはならないと思う。
・静か過ぎて(?)ワ●ンRにすらナメられる始末
・でもブン回せば排気バルブが開放されてパアァァーンと気持ち良い音に。
・バリバリの高回転型かと思いきや、案外下でも粘るのでエンストしない
・クラッチが激軽でコントローラブル
・取り回しは求めてないけど、まあ良くはない。街中でもバシバシ寝かさないと曲がってくれないので、結構思い切って乗らないと逆に転ける
・ライディングポジションは案外楽。ただし前傾であることには変わりないので、重い荷物を背負うと腰に負担がくる
・グッとお尻を後ろにズラすと腹筋と背筋のトレーニングになって最高(?)
・思いの外アシはしなやかに、よく動く。固いとは思わなかった。
・電子制御の塊。FIの指導性の良さは最高に楽。
・結構な頻度でTCSが介入してくるので、時々鬱陶しい
・積載性?知らない子ですね…
・ハンドルを切ってもライトが動かないので、進行方向が見えねえ~
・カッコイイ
・カッコイイ
総じて安定性が高く、驚く程スピード感が無いため、速度が出ている自覚が薄れる点は要注意。いきなり白バイのお世話になりました。
6Rは極めて快適ですが、乗り換えて初めてわかるhornet 600の良さもあったりします。
・ハンドルの切れ角が大きく、街中では取り回しが非常に良い。本当に気軽に乗れた。
・良い意味でグニャグニャで(6Rに比較して)恐怖感がある分、飛ばさなくても満足感があった
・ローテクではあるけどガサツな印象は無いエンジンが良かった。音も繋がりが良く上品。
・エンジンがよく冷えた。気がする。
・ポジションが超楽
・タンクの造形はやはり良い
・カウルなんて無いから掃除しやすい
・積載性が無いとか言っててゴメン・・・君はまだ工具と書類がシート下に収まるスペースがあった。
・シートが細く絞り込まれていて脚付きが極めて良好
・「ライダーにエキゾーストノートを聴かせる」アップマフラー。性能はともかく、趣味性の高いバイクだからこそ官能性も大事なんだな、と。
・誰も乗ってなかった。乗ること自体がアイデンティティ。
・赤いバイクってやっぱ最高
・カッコイイ
・カッコイイ
総括
6年弱、自分の人生の四分の一を共に過ごしたhornet 600でしたが、ZX-6Rに乗り換えることになりました。
真夏の青空に映える真っ赤なボディが最高にカッコよかった。気負わず、気軽に乗れるアイツを選んだ自分を褒めたいと思っています。
ちなみに後日談。下取りに出した真っ赤な彼ですが、整備を終えて店頭に並んだらしいので会いに行ってきました。
ほとんど自分が送り出した時と変わらない姿で並んでいました。少しだけキレイになってたけど。「良かったな、まだまだ行けるね?」とだけ声をかけて、少しだけ触って帰りました。この時は不思議と寂しさは無かったかな。次のオーナーさんはどんな楽しみ方をしてくれるんだろうか。彼の今後は想像するしかないのかもしれませんが、それはそれで物語の結末としては良いのでしょう。
これからはZX-6Rを大事にしてあげたいと思います。皆様も楽しいバイクライフを。